ラーメンとゆで卵
ラーメン屋のカウンターなどで見かけるザルに入れられたゆで卵の位置付けって何なんだろう。若い頃よくお店でそんな事を考えながら啜っていた。「ラーメンのみでは栄養に偏りが出る。その補助食的立場なのだろうか」「精を付けるため?店によってはニンニクなども置いてあるし」
お昼時に肉体労働者のオッちゃんが入ってくるや否や「大盛チャーシューメン!」と注文した後、間髪入れずにカウンターのゆで卵に貪りついていた記憶が鮮明にある。うどん屋ではなかなか見られない光景のような気がする。
先のオッちゃんに影響されてか、入ったラーメン屋でその存在に出くわすと、必ずといっていい程手を出してしまう。近頃では既に塩味が付いている半熟ゆで卵なるものをよく目にするが、オレは断然固ゆでのいたって普通のヤツがいい。塩を振りかけながらかぶりつくのが好みだ。値段も大抵五十円くらい。ラーメンとゆで卵。これで充分な食事となり得ると〝自己満足〟していたが、ゆで卵には他にも効用があるらしい。
もう十年ほど前くらいからだろうか。かの一蘭で半熟塩ゆで卵を注文すると「たまごの不思議な効果」なるウンチクが書かれたものが付いてくるようになった。要は〝利き酒師はゆで卵を食べて口の中をリセットしてから微妙な味わいに挑む〟ということらしい。これはこれでオレ的にはそそられるものだった。
たかがゆで卵、されどゆで卵。奥が深い。